歯を失うと認知症リスクが上がる?口の健康、ナメてませんか

歯を失うと認知症リスクが上がる?口の健康、ナメてませんか

8020運動、達成できそうですか?

「80歳になっても自分の歯を20本以上保とう」という8020運動。厚生労働省の調査によると、達成率は年々増加しているものの、50代で歯を失い始める人はまだまだ多いのが実情です。

正直に言うと、筆者自身も30代まで歯医者にほとんど行きませんでした。痛くなったら行く、という典型的なパターン。でも40代で歯周病を指摘されてから考えが変わりました。歯の問題って、口の中だけの話じゃないんです。

歯周病菌が全身をめぐる

歯周病は、歯を支える歯ぐきや骨が細菌に侵される病気です。日本人の成人の約8割が何らかの歯周病を抱えているとも言われています。問題は、歯周病菌が歯ぐきの血管から血流に乗って全身に運ばれること。

これによって何が起きるかというと——

まず、糖尿病との関係。歯周病による慢性的な炎症が、インスリンの効きを悪くする(インスリン抵抗性を高める)ことがわかっています。実際に、歯周病を治療したら血糖値が改善したという研究報告もあります。糖尿病の方が歯周病になりやすく、歯周病があると糖尿病が悪化する。負のスパイラルです。

次に、心臓病・脳卒中との関連。歯周病菌が血管内でプラーク(動脈硬化の原因)の形成を促進するという研究があります。歯周病がある人は、ない人に比べて心筋梗塞のリスクが1.5〜2倍高いというデータも。

歯と認知症の意外なつながり

近年、最も注目されているのが歯の健康と認知症の関係です。九州大学の研究では、残っている歯が少ない人ほどアルツハイマー型認知症のリスクが高いことが報告されました。噛むという行為が脳への血流を増やし、脳を刺激しているんですね。歯を失って噛めなくなると、この刺激がなくなる。

また、歯がないと食べられるものが限られて栄養が偏り、それが認知機能の低下につながるという間接的な影響もあります。入れ歯やインプラントで咀嚼機能を回復させることも大事ですが、やはり自分の歯に勝るものはありません。

今日からできる口腔ケア

歯磨きの基本を見直す

「そんなこと知ってるよ」と思うかもしれませんが、歯科医に言わせると、正しく磨けている大人は意外と少ないそうです。ポイントは、歯と歯ぐきの境目(歯周ポケット)に毛先を当てて、やさしく小刻みに動かすこと。力を入れてゴシゴシ磨くのは逆効果です。歯ブラシは月に1回は交換を。毛先が開いたブラシでは汚れが落ちません。

フロスと歯間ブラシを使う

歯ブラシだけでは歯の汚れの約60%しか落とせないと言われています。歯間ブラシやデンタルフロスを使うことで、80〜90%まで除去率が上がります。面倒に感じるかもしれませんが、毎晩の歯磨きにプラス2分、これだけです。

定期検診を習慣にする

3〜6ヶ月に1回の歯科定期検診。これが最も重要です。プロによるクリーニングで歯石を除去してもらい、初期の虫歯や歯周病を早期発見できます。「痛くなってから」では遅いんです。予防歯科という考え方、日本でもようやく広まってきましたが、スウェーデンなどの北欧では定期的な歯科検診が当たり前で、80歳時点での残存歯数が日本よりずっと多いんですよね。

歯の健康は、文字通り全身の健康の入り口。80歳で20本、ぜひ目指しましょう。

※歯ぐきの腫れや出血が続く場合は、早めに歯科を受診してください。

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