「孤独」が体を蝕む?人とのつながりが健康を守る理由
孤独は「気持ちの問題」じゃない
「タバコを1日15本吸うのと同じくらい健康リスクがある」——2010年にアメリカのブリガムヤング大学が発表した研究結果は、世界中に衝撃を与えました。孤独や社会的孤立が、肥満やアルコール依存よりも死亡リスクを高めるというのです。
「大げさでしょ」と思いましたか? でも、その後も世界各国で同様の研究結果が次々と発表されています。WHOも2023年に「孤独と社会的孤立は重大な健康上の脅威である」と公式に表明しました。これ、もはや「気分」の話じゃなくて、医学的な問題なんです。
日本は「孤独大国」になりつつある
内閣府の調査によると、65歳以上の一人暮らし世帯は年々増加しており、2020年時点で約670万世帯。さらに、配偶者を亡くした方や、定年退職で職場のつながりを失った方が、急に社会から孤立してしまうケースが増えています。
特に男性は注意が必要です。日本の中高年男性は、仕事以外の人間関係が希薄な傾向があります。「友人と呼べる人が職場にしかいなかった」という話、けっこう聞くんですよね。定年した途端、連絡を取る相手がいなくなる。これは深刻な問題です。
孤独が体に及ぼす影響
孤独を感じている状態が続くと、体の中で何が起きるか。まず、ストレスホルモンであるコルチゾールが慢性的に高くなります。これが血圧上昇、免疫力低下、慢性炎症を引き起こします。
具体的なリスクとしては——
- 心臓病のリスクが約29%上昇
- 脳卒中のリスクが約32%上昇
- 認知症のリスクが約50%上昇
- うつ病の発症リスクが大幅に増加
認知症リスクが50%上昇というのは、正直驚きました。脳は社会的な刺激で活性化されるので、人との会話や交流がなくなると、認知機能が低下しやすくなるんです。
つながりを保つための、現実的なアドバイス
「用事」を作る
人とのつながりって、意識しないと自然に減っていくものです。だからこそ、意図的に「人と会う用事」を作ることが大事。町内会の活動、趣味のサークル、ボランティア、地域のスポーツクラブ…。形は何でもいいんです。
知り合いの60代男性は、定年後に地元の将棋クラブに入ったそうです。「将棋自体も楽しいけど、対局後のお茶の時間が一番の楽しみ」と言っていました。活動内容よりも、そこで生まれる「雑談」が大事なんですよね。
家族との関係を見直す
配偶者や子どもとの関係も、放っておくと形骸化します。週末に一緒に食事する、孫の送り迎えを買って出る、夫婦で散歩する——小さなことですが、これが日々のつながりになります。
テクノロジーも味方にする
LINEやビデオ通話を使えば、遠方の友人や親族とも気軽に連絡が取れます。「機械は苦手」と避けずに、基本的な使い方だけでも覚えてみてください。お孫さんとのビデオ通話が生きがいになっている方、けっこう多いですよ。
一人でいることが好きな人はどうすればいい?
ここで補足しておきたいのですが、「一人が好き」と「孤独」は別物です。自分で選んで一人の時間を楽しんでいるなら問題ありません。問題なのは、「話し相手がいない」「困ったときに頼れる人がいない」と感じている状態です。自分がどちらに当てはまるか、正直に振り返ってみてください。
※孤立感や孤独感に悩んでいる方は、地域の相談窓口や支援センターに連絡してみてください。一人で抱え込まないことが大切です。